明晰夢日記

Lucid Dream Diary

明晰夢の世界への扉を開く、神秘的な宇宙風景が広がるイメージです。瞑想によって解き放たれる心の奥深くに潜む変性意識の領域が、色鮮やかな星雲や輝く天体を通して表現されています。この静かでカラフルな場は、現実の枠を超えた自己探求と心の解放を促す、内観の旅へと誘います。

変性意識状態,瞑想,明晰夢の関係が判明 3つの実験で分かる明晰夢の成功率を上げる方法

心理学で言われる変性意識状態とは、目覚めていても日常的な意識と異なった意識の状態のことです。
近年研究が始まったばかりの新しい分野でもあります。

変性意識状態について解明されたことは少なく、明晰夢の成功率向上に関係ありそう!と私も軽い気持ちで調べました。

しかし調べる中で驚くべきことが分かってきたのです。

結論

  • 深い変性意識状態は顕在意識と潜在意識を繋げ、性格や考え方を変えられる可能性がある
  • 変性意識状態へ入るには瞑想がおすすめ
  • 瞑想を極めると深い変性意識状態に入り明晰夢の成功率が飛躍的に向上する
  • 瞑想は集合的無意識へアクセスできる可能性がある

どうしてこれらの結論が出たのか?

まずはユング心理学を創始し深層心理について研究したユング博士の3つの意識層について見ていきましょう。

目次

ユング博士の語る3つの意識層と変性意識

星空と氷山

スイスの精神科医のカール・グスタフ・ユング博士は、人間の意識には顕在意識・潜在意識・集合的無意識の3つがあると提唱しました。

カール・グスタフ・ユング

顕在意識は日常での意識のことで、潜在意識は無意識、集合的無意識は人類全体等を含めた意識…という考え方です。

私たちの顕在意識自体が潜在意識によってプログラムされ表に出されているだけであるという考え方もあります。
つまり潜在意識自体を変えなければ日常の意識…性格・考え方や行動を根本から変える事は出来ないという訳です。

潜在意識は通常私たちは認識できずアクセスすることができません。

この顕在意識と潜在意識の割合が顕在意識が3~10%、潜在意識が90~97%と言われています。
普段の我々の意識である顕在意識は氷山の一角で、その水面下に10倍以上もある潜在意識が眠っている…という考え方です。

意識を氷山に例えると:顕在意識と潜在意識と集合的無意識

氷山以外の海が集合的無意識です。

変性意識状態はこの顕在意識と潜在意識の中間に位置すると言われます。
言い換えると変性意識状態は氷山における水面に位置します。

つまり変性意識状態は通常は繋がりの無い顕在意識と潜在意識を繋げられる、潜在意識に干渉できるということです。
変性意識状態でそれにアクセスできれば、日常の考え方や行動も変えられるようになる可能性もあります。

ですが変性意識状態の研究は始まったばかりで全てが判明している訳ではありません。

しかし様々な研究で変性意識状態と明晰夢が関係するのではないかと言われてきました。

どうやったら変性意識状態へ入れるのでしょうか?

変性意識状態への入り方

蓮と池

心理学者であり立命館大学名誉教授である斎藤稔正教授は自身の論文の中で、変性意識状態を引き起こす条件として次を挙げています。

  1. 感覚刺激が閾値の上限,および下限を超過(感覚遮断,社会的拘束,集団における混乱状況,断食,断眠などの宗教的修行など)
  2. 脳の中枢部への物理的,化学的な刺激(幻覚剤,アルコールなど)
  3. 仮死状態,昏睡状態
  4. 軽睡眠,まどろみ,白昼夢
  5. 連続的な単調刺激の提示
  6. 状況に適切な気分(心身共にリラックスできる雰囲気,たとえばムード音楽,美しい夜景)
  7. 非常に新規な状況に対処できないとき(ショック,パニック状況など)
  8. 心身機能の異常状態(ホルモンや神経機構の変化によって生じる。例えば,嗜眠症,甲状腺の異常など)
WIRED:変性意識状態と禅的体験の心理過程より引用

仮死状態や幻覚剤、パニック状況など少し物騒な言葉が並びますね。
まとめると極限状態や意識が朦朧としている状態、集中状態に変性意識状態は起こるようです。

軽いものであれば日常生活でもぼーっとしていたりウトウトしている時も変性意識状態に入ります。
恐らく私たちも気付いていないだけで毎日体験しているはずです。

ですが潜在意識へのアクセス等を考えると深い変性意識状態に入る必要性があります。

興味深いことに斎藤稔正教授は変性意識状態と関わりの深いものの例として禅の修行3段階を挙げています。

禅の修行3段階

第一段階:雑念と邪念を失くし無我の境地へ行くこと。
自動的に現実へ向けられていた注意・集中を、内的な物…非現実世界を含め自由に向けられるようになること。

第二段階:自分の意識を希薄にし、無になりきることで世界との一体化を求める静慮の状態

第三段階:変性意識状態がより深くなり、自意識がほぼ無い状態。知覚や感覚がほぼ無くなり、死人の如き無念無想の境地。
※斎藤教授はこの状態を根源的意識状態と呼びました。

禅の修行が進むごとに自分と言う意識が希薄となっていくようです。

自我が希薄になると言うことは、先ほどのユング博士の意識三段階における集合的無意識にアクセスしているのではないでしょうか?
自分と言う一つの存在の顕在意識から潜在意識を越えて種全体…あるいはそれ以上の意識である集合的無意識へと。

あくまで仮説に過ぎませんが、瞑想によって悟りを開いたという方の話を聞く限り可能性はありそうに感じます。

赤い衣を着て座禅を組み瞑想する僧侶

そして禅の修行で深い変性意識状態に入れている可能性がありますね。
具体的な変性意識状態への入り方を見ていきます。

禅の修行…座禅や瞑想が変性意識状態へ意識的に入るにはおすすめと言われます。
瞑想は遥か昔から行われてきましたが、科学的に研究され始めたのは極近年で様々な効果があることは分かっていますが全貌はほぼ全く解明されていません。

そして瞑想やマインドフルネスを行う方が明晰夢を見やすいのでは?と言われてきましたが、実際にその関係を研究した科学者はいませんでした。

しかしアデレード大学のアスピー博士が2017年に行った実験で、瞑想が明晰夢の成功率を上げることが判明したのです。

瞑想と明晰夢が関連があると裏付ける3つの実験

湖のほとりで座禅を組み瞑想する女性

アデレード大学のアスピー博士が2017年に2000人を対象とした実験で、睡眠前に瞑想を行った場合、明晰夢を見る確率が約50%向上したとの結果が出ました。

アスピー博士の行った大規模明晰夢実験ILDIS

2017年アスピー博士が行った実験「国際的な明晰夢誘発研究(ILDIS)」

世界中の志願者2000名を対象にした実験。
2週間のスケジュールで構成され最初の1周目は明晰夢テクニックを使わずに、2週目は明晰夢テクニックを使用して夢に関する様々な記録を取る。

第1周目の結果(明晰夢テクニックを使わない週)
睡眠前に瞑想をせずに明晰夢を見た人は平均5.9%

第2週目の結果(明晰夢テクニックを使用した週)
睡眠前に瞑想をせずに明晰夢を見た人は平均13.8%

睡眠前に瞑想を行った人は第1周目、第2週目の両方で明晰夢を見る確率が約50%向上したとの結果が出た。

明晰夢テクニックを使う、使わないに限らず50%も成功率が上がったのは驚きですね。
しかしなぜ瞑想をすると明晰夢の成功率が上がるのでしょうか?

その足りないピースを埋められる二つの実験がありました。

フォス博士の電波を流し明晰夢を見る実験

電流を流し覚醒する脳のイメージ

一つ目はゲーテ大学で心理学を研究するウルズラ・フォス博士が行った実験です。
フォス博士は過去の実験で明晰夢を見ている間、前頭野からガンマ波が発生していることを突き止めていました。

それを踏まえフォス博士は普段明晰夢を見ない27名の男女に対し、レム睡眠が約3分途切れず続いた後の30秒間様々な帯域の電波を流し、また一部の被験者には全く電流を流さない実験を行います。
電流が流れたあと脳はどう動き被験者はどう感じるのか観察しようと言うのです。

電流が流れたあと被験者は起こされ夢の状態を聞かれ明晰夢だったか判断します。
この実験は4日間行われました。

その結果ガンマ波帯域とされる40Hzの電流が流れた被験者は77%、25Hzの電流が流れた被験者は58%で明晰夢を見ることに成功したそうです。

一般的な明晰夢の手法で最も成功率が高いのはMILDの1週間で46%でした。
それが4日で77%…しかも明晰夢のテクニック無しでこの数字は驚異的です。

ガンマ波と明晰夢が関係しているのは間違いないでしょう。

ではどうやったらガンマ波を流すことができるのでしょうか?
実は瞑想でガンマ波が流れることを突き止めた研究がありました。

Awakened Mind研究所が瞑想でガンマ波が流れることを突き止める

アメリカのAwakened Mind研究所が様々な状態での脳波を計測した研究結果を出しています。

Awakened Mind研究所は人間の意識状態を研究しており、脳波を解析することでどれほど深く瞑想に入れているかだけでなく、その人の意識変容の段階も分かると言います。

まずこちらが普通に起きている状態の一般的な脳波の画像です。

起きている状態の各脳波
WIRED:MIND MIRROR PORTALより引用

棒グラフではオレンジ色のベータ波と呼ばれる帯域が大きいのが特徴です。
最も一番上のガンマ波は全くと言っていいほど発されていないのが分かります。

しかし瞑想を続けていくほど一番上のガンマ波が大きくなることが判明しました。

一般的な方が瞑想をした時の脳の状態「覚醒脳」

覚醒脳状態の脳派
WIRED:MIND MIRROR PORTALより引用

瞑想の熟練者が瞑想した状態「超意識シンクロ状態」

超意識シンクロ状態の脳波
WIRED:MIND MIRROR PORTALより引用

さらに熟練者が瞑想した状態「究極脳」

究極脳状態の脳波
WIRED:MIND MIRROR PORTALより引用

ご覧のとおりガンマ波が大きく出ていることが分かります。
究極脳まで到達するとガンマ波のみならず全ての帯域で大きな反応がありました。

サイキックやヒーラーと呼ばれる超能力者やトップクラスの経営者に「究極脳」の波形を示す人が多かったそうです。

最初にお見せした普通の起きている状態の一般的な脳波と、最後にお見せした究極脳の脳波が大きく異なっているのが一目瞭然です。

変性意識状態は通常と異なる意識状態のことでした。
最後の究極脳は通常と大きく異なる脳波…意識状態であり、深い変性意識状態にあると言えます。

瞑想を用いることで深い変性意識状態に入れることが分かりました。
深い変性意識状態に入るとユング博士の3つの意識段階の氷山モデルで、下へ下へと潜ることになります。

意識を氷山に例えると:顕在意識と潜在意識と集合的無意識

自分の潜在意識から集合的無意識…そこにはどんな世界が待っているのでしょうか?
今の科学では全く解明されていない、未知なる世界が待っているのかもしれません。

変性意識・瞑想・明晰夢まとめ

これまでのことをまとめます。

  • 変性意識状態は未知の分野である
  • 変性意識状態は顕在意識と潜在意識の架け橋
  • 変性意識状態へ入るには瞑想がおすすめ
  • 瞑想を睡眠前に行うとテクニック関係の有無問わず明晰夢の成功率が50%上がる
  • ガンマ波を身体に流すと明晰夢を77%で見れる
  • 熟練者は瞑想でガンマ波を発する
  • 瞑想で深い変性意識状態に至る
  • 深い変性意識は集合的無意識へ至る可能性がある

変性意識状態も瞑想も明晰夢も研究が始まったばかり。
科学的にほとんどのことが判明していません。

しかし瞑想を極めると脳波が大きく変容しガンマ波が流れ、その影響は明晰夢の成功確率を大きく上げることは確実でしょう。
そして瞑想で深い変性意識状態に至り、それは集合的無意識へのアクセスも予感させます。

私たちに大きな可能性が眠っているのは間違いありません。